益城町の事業者の存続の難しさ

熊本県や益城町及び被災した事業者への取材でわかったことをまとめてみよう。

現在、熊本県の事業として益城町の4車線化の事業が進行しているが、それと並行して益城町も区画整理事業が行われている。このため、当然ながらその対象地域は重なっている場合が多く、住民にとってはその交渉の方法がわかりにくい状況だ。

震災によって家屋や事業所をなくした住民にとって、もとの土地に早く再建したいという願いは強い。

しかしながら、上記の事業が存在している状況では、建設許可を得ることができない。

それは当然といえば当然であるし、町の将来を考えれば、個人の利益だけを優先できないのも理解はできる。都市計画のないところで、建設を許してしまえば行政は破綻する可能性がある。

しかし、住民にとって震災からもうすぐ3年目になろうとしている現在、事業の再建のめどを立てることが出来ず、アルバイトや資産を食いつぶして暮らしていくのは限界だ。

また、4車線化のエリアに該当する事業所では、自費解体と国費解体の選択の違いで補償額に差が生まれている。自費による解体と再建をいち早く出来た事業所に於いては、4車線化工事にかかる休業補償なども支払われるが、国費解体を待って平地にしている住民にとっては、その土地での営業の実態がないため、補償はされない。

そうなると住民側からの言い分は以下の様になる。

「国からの救済策としての国費解体を行って、その後すぐに事業所を再建したいと思っていたが、4車線化事業が突然決まってしまい、もとの土地に建てられなくなった。このため、熊本県側の代替え地斡旋をまって新たな土地に建設したいが、時間がかかった上、もとと同じ広さではなく、その差額を埋める為に更に自費が必要となった。自費で再建した人にはそれら補償もあるのに、行政の指導をまもった我々にはその様な補償がないのは納得いかない」

県側は、新規道路着工においては法令を守って、進行しているが、この様なイレギュラーな状態に対しての補償の手立てがない。町としても代替え地の斡旋までは県と一緒に対応可能であるが、細かな補償に関しての前例も存在しないであろうし、対策を講じることが難しい状況だ。

 4車線化事業に於いても、住民への説明の前に新聞にて報道がなされ、住民説明がない状態で勝手に行政が決めたとの印象が持たれている。この点も問題の一つだろう。通常、こういった大きな事業は事前の住民説明を十分に行う必要があったはずだが、それらが十分に行われたという形跡はない。

これは個人的推測に過ぎないが、「元々4車線化の計画は存在していたが、(これは事実)国からの復興資金によって予算を確保出来たため、急ぎ実施に踏み切った」のではないだろうか?

このため、十分な時間をかけての住民への説明が出来ていない。

 益城町の区画整理事業とも連動しているが、窓口が統合されていないため、住民にとってはどちらに何を要求すればいいのか混乱している。これは行政側も認識しており、今後熊本県と益城町が協働して窓口の統一ができないか?その策を進めているとは益城町の担当者の弁。この点に関しては期待したい。

ちなみに取材した事業者は、今日現在、代替え地の確保も確定しておらず、住居も災害被災住宅でヤキモキした気持ちのまま生活を続けているが、それもそろそろ限界に近いとのことだ。

 

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